2011年05月08日

「公益」財団法人であると言うこと #boyscoutj

この間、いくつかのブログ等で「ボーイスカウトが公益財団法人であるから○○」といった議論を拝見していました。
なんだかしっくりこないのはこの「公益」という言葉。私たちは、昨年4月以降様々なところで「公益財団法人」という言葉を聞いてきたわけですが、これまでと「公益」財団法人になったことの違いはいったい何なんだろうか、と考えちゃったりしたわけです。

じゃ、公益財団法人って何よ?
まず、wikipediaで調べてみました。説明はこんな感じ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E7%9B%8A%E6%B3%95%E4%BA%BA%E5%88%B6%E5%BA%A6%E6%94%B9%E9%9D%A9

財団法人ボーイスカウト日本連盟はかねてより、試験研究法人・特定公益増進法人という、いわゆる財団法人制度の中でも公益が認定され、非課税部分が大きかった歴史を持っています。2000年から始まった公益法人制度改革により、この特定公益増進法人といったものがなくなることが2008年に決まり、この年から5年の間に、全ての財団法人は一般財団法人か公益財団法人に移行することとなりました。

上記wikipediaの説明を見ると、公益法人制度改革関連3法案により、財団法人から公益財団法人になることでこんなことが変わっているらしい。
  • 公益社団法人・公益財団法人の認定は、内閣総理大臣および都道府県知事が行う。
  • 有識者からなる合議制の委員会が上記行政庁から諮問を受け、公益認定、移行認定、移行認可について答申し、公益法人及び公益目的支出計画を実施中の一般社団法人・一般財団法人の実質的な監督権限を有する。
  • 公益認定の要件(公益法人認定法第5条)は、公益目的事業支出が全支出の50%以上であることなど17項目。ほかに同法6条に欠格事由あり。「公益目的事業」の定義は、同法別表の23事業に該当し、なおかつ、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの(同法2条)。
  • 不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものとして認定するための目安として、「公益目的事業のチェックポイントについて」が参照される。
  • 「公益目的事業のチェックポイントについて」を含む「公益認定等に関する運用について(公益認定等ガイドライン)」が行政手続法第5条で義務づけられた審査基準として、内閣府及びすべての都道府県で公示されている。
  • 特例民法法人の移行審査に際しての審査基準としては、公益認定等ガイドラインの他に、「移行認定又は移行認可の申請に当たって定款の変更の案を作成するに際し特に留意すべき事項について」がある。(一般社団法人・一般財団法人を新設する際には、定款の審査は公証人と登記所が行う。)
  • 公益目的事業については、公益法人認定法第5条第6号及び第14条の定め(公益目的事業の収入)から、「赤字事業でなければ認定されない」という誤解があるが、必ず(経常収益)−(経常費用)がマイナスでなければならないということはなく、赤字事業でなければ認定されないという認識は誤りである。
ここではおそらく「公益目的事業のチェックポイントについて」が重要なのだと思われます。原文はこちら。
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/common/index.do?contentsKind=120&gyouseiNo=00&contentsNo=00201&syousaiUp=1&procNo=contentsdisp&renNo=1&contentsType=02&houjinSerNo=&oshiraseNo=&bunNo=1120009647&meiNo=1120008580&seiriNo=undefined&edaNo=undefined&iinkaiNo=undefined&topFlg=0

このいくつかのチェックポイント、どれを見てもボーイスカウト日本連盟の事業は微妙にずれる。ストレートにあたるところを見つけるのは難しい。いや、私自身が見れば「これヒットじゃね?」と思うことはいくつもあるのですが、ボーイスカウトを知らない人が書類から判断したら、こりゃ確実にずれる。

そう思っていたら、内閣府の公益法人行政統合情報サイト「公益法人information」に公益財団法人ボーイスカウト日本連盟に関する情報が掲載されていました。
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/common/index.do?contentsKind=120&gyouseiNo=00&contentsNo=00015&syousaiUp=0&procNo=contentsdisp&renNo=1&contentsType=02&houjinSerNo=5000001974&oshiraseNo=&bunNo=1120048241&meiNo=1120046104&seiriNo=undefined&edaNo=undefined&iinkaiNo=undefined&topFlg=0

ここを見ると、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟の場合、公益事業として
(1)ボーイスカウト運動の教育計画の策定及び運営
(2)ボーイスカウト運動の普及及び広報
(3)指導者の養成
(4)国際相互理解の促進及び国際協力
が認定されています。

そんでもって収益事業等として
(A)スカウト関連事業
(B)傷害共済制度事業
(C)加盟登録事業
(D)賠償責任保険事業
と 書いてあることに気がつきました。

公益認定の条件として「公益目的事業支出が全支出の50%以上であること」があるわけですから、上記 1+2+3+4の事業支出がA+B+C+Dの事業支出を上回る必要がある。A,B,C,Dの支出はよーく考えると、結構な金額になると思いませんか?なんといっても、今の日本のボーイスカウトの場合、1,2,3,4の公益事業は一歩間違うと「できるだけお金をかけない」方がいいようなイメージすらあると考えています。

そうすると、現在の公益財団法人認定制度上では、加盟員制度を取るボーイスカウトは公益財団法人認定を受けるのはすごく不利であることが何となく理解できます。非本来事業(「収益事業等」)の利益の100%まで非課税の公益目的事業への「みなし寄附」が可能であるらしいのですが、それを考えても 1+2+3+4の事業支出よりもA+B+C+Dの事業支出の方が大きそうに感じます。

この「公益事業認定」の条件を考えていくと、スカウト関連事業に含まれると思われる「需品販売事業」については、公益財団法人の枠から外し、株式会社化してしまえば「公益目的事業支出が全支出の50%以上であること」の規準のクリアが楽になるはずという話になったのではないかと想定できます。

加えて、この制度を見ていくと、連盟本部ビル移転もなんとなーく推察できます。ビルの位置からすると、ボーイスカウトが最も弱い広報機能である3とかの事 業に力を入れるため、事業費としてもここにビル利用経費を割り振ることができそうな気がしてきます。移転の理由の中にも「スカウティングミュージアム」な んて記述があったように思える。そうだとしたら、とても戦略的な移転だったと見ることができるかもしれません。

ちなみに、課税対象等について。非本来事業(「収益事業等」)の(法人税法上の)収益事業について課税し、本来事業(「公益目的事業」)については、収益事業34業種にあたっても、非課税。税率は30%。ただし、所得額800万円までは22%。(この税率は、一般民間法人(いわゆる株式会社とか)の税率と一緒です)

で、ここまで考えてくると、じゃあ、公益認定が本当に必要なの?といった点と「公益認定を受ける」って言う点について疑問が湧いてきます。

まず、公益認定が必要でないか、といわれれば「あった方がいいに決まっている」と言わざるを得ないでしょう。だって、ボーイスカウトはよき社会人を育てるわけで、それはすなわち公益につながるはずだとボーイスカウト関係者は考えているはずだし、これまでだって同じように特定公益増進法人の認定を受けていたから非課税部分が多かったわけだし・・・。

じゃ、公益認定を受けることの利点って何なのよ?
幸か不幸か、現在の公益法人制度で言っている公益とは「みんなが財団法人格を取ることはOK。そうすると公益性は税制で確保される」という考え方のもと、「第三者機関で公益性を判断し、その法人には税制上の優遇措置を付与します」ということらしい。つまり、もちろん事業の内容は第三者機関で審査されるんだけど、それ以前に公益であることの利点は「税制上の優遇措置」であるわけです。なんかしょっぱいけど、これが現実。

結局、「税制上の優遇措置」を受けるために公益認定を受けているということがなんとなーく見えてきました。
「税制優遇」っていうのは、「行政がその活動は公益であると認定するから、本来の課税額を緩和します。その分有効活用してね」という制度。ある意味補助金と同じ。ボーイスカウト日本連盟は公益財団法人という「お墨付き」を貰っているわけですから、それをしっかり活用していかなくちゃいけないわけですね。
「公益目的事業のチェックポイントについて」がストレートに当たっていれば、もしかしたら、ボーイスカウト日本連盟の「公益認定」はもっと簡単だったのかもしれないなあとか思ったりもしちゃいました。

posted by 黒澤岳博 at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 組織運営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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